強力なアゴでミツバチを食べる!オオスズメバチ
- By: ミツバチの生態研究室
- カテゴリー: ミツバチの天敵
- Tags: オオスズメバチ, 危険性, 毒性

私たちの生活には欠かせないミツバチですが、そのミツバチの天敵の1つがオオスズメバチです。ミツバチだけでなく人間にとっても脅威であるオオスズメバチ。
今回は「強力なアゴでミツバチを噛み砕く!オオスズメバチ」についてまとめてみました。
目次一覧
オオスズメバチってどんなハチ?
オオスズメバチの特徴について
オオスズメバチはハチ目スズメバチ科に属し、オレンジ色の頭部、黒い胸部、黄色と黒の縞模様の腹部、そして茶色い羽根を持ちます。
働き蜂は27mm〜40mmほどの大きさですが、女王蜂はそれより大きく40〜55mmほどになります。
オオスズメバチの生態について
北海道〜九州まで分布していて、5月から11月の間に行動が活発になります。木の根元などの土中や、木の裂け目などの閉鎖的な場所に巣を作ることが多く、民家の屋根裏、軒下、床下などにも営巣します。主に里山や山間部で見られますが、最近では都市部でもよく見かけられるようになりました。
オオスズメバチの毒性・危険性
オオスズメバチの危険性について
オオスズメバチはとても凶暴で攻撃性が強く、縄張り意識の強い蜂です。そのため巣はもちろん、餌場に近づくだけでもブーンという羽音を響かせながら、もしくは大あごをカチカチ言わせながらまとわりつくように飛び回ります。
特に秋口は餌になる昆虫が少なくなるため、攻撃性が増します。スズメバチはミツバチのように針に返しがないため、何度でも抜き差しすることができるので、狙った相手に対して執拗に攻撃します。
オオスズメバチの毒性について
スズメバチの毒には様々な成分が含まれていますが、ハチの中でも体内にある毒の量はオオスズメバチが一番多く、非酵素系の神経毒であるマンダラトキシンという毒の成分は唯一オオスズメバチの毒に含まれます。
また毒液中にはアルコールの一種からなる警報フェロモンが含まれているため、毒を空中に飛散させることによって巣の危機を仲間に知らせます。
ちなみに毒針を持つのはメスだけです。オスは襲おうとはするものの、毒針がないので刺すことはありません。
アナフィラキシーショックについて
アナフィラキシーショックは一般的に2回以上刺されなければ発症しないと言われていますが、実際には1回目でも起こりますし、何度も刺されているのにアナフィラキシーショックが起こらない場合もあります。
全身の蕁麻疹、血圧低下、呼吸困難、意識障害といった重篤な症状が出ることもあり、最悪の場合は死に至ります。
オオスズメバチを寄せ付けないためには?養蜂の対策を紹介
ミツバチの天敵・オオスズメバチ
秋も深まるとオオスズメバチに刺される被害が増加しますが、ミツバチにとってもオオスズメバチは天敵です。キイロスズメバチは狂暴ではあるものの、一匹ずつ肉団子にして巣に持ち帰りますが、オオスズメバチはミツバチの巣を襲う際、片っ端からミツバチを噛み砕いて全滅させ、数日間かけて幼虫を巣に持ち帰ります。
成虫はミツバチを食べませんが、その強靭なアゴを使ってミツバチを肉団子にして持ち帰り、肉団子を幼虫に食べさせ、代わりに幼虫の唾液腺から出る栄養を貰っています。
養蜂にとっての天敵・オオスズメバチ
ミツバチの中でもニホンミツバチはオオスズメバチ1匹に対して集団で襲い、蜂球を作ってその中心にいるオオスズメバチを蒸し殺すことができます。
けれどもセイヨウミツバチは集団でオオスズメバチを襲ってもダメージを与えることができないため、逆に返り討ちにあって大量死してしまいます。そのため養蜂家はセイヨウミツバチをオオスズメバチから保護する必要があります。
養蜂家のオオスズメバチ対策
巣門の前に駆蜂器(くぼうき)と呼ばれるスズメバチの捕獲容器を設置します。偵察に来たスズメバチが斜め上に飛ぶという習性を利用し、一度入ったら出られない構造になっています。1匹捕まることにより、警戒フェロモンによってやってきた他のスズメバチも次々とカゴの中に入るという仕掛けになっています。
また女王蜂が巣を作る春に設置する仕掛けとしては、蜂を誘引する液剤をペットボトルに入れ、そこに女王蜂を誘い込むというものがあります。一度ペットボトルに入ると外には出られなくなるため、女王蜂は巣を作ることができません。こうすることでオオスズメバチの営巣を防ぐことができるのです。
その他のミツバチの天敵はこちら → 巣を崩壊させる!?ミツバチヘギイタダニ
まとめ
オオスズメバチについてまとめてみました。
オオスズメバチの残酷さには目を覆いたくなるほどですが、それでもオオスズメバチは様々な害虫を捕食してくれるという意味で、人間にとって利点もある存在です。
ミツバチはもちろん人間も自らの身を守りながら、スズメバチと共存していくことが求められるのです。